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読書日記 「#シェアしたがる心理」

Twitterでおすすめされていた「#シェアしたがる心理」を読みました。

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こちらは社会学的にInstagramなどのアプリを中心に行われているビジュアルコミュニケーションについて書かれています。

「タグる」(言葉で検索する「ググる」からInstagramなどでタグを使っていくコミュニケーション)を移っていっている現状や、浮世絵などにも見る「盛る」の歴史、オリジナルがないけれど同時多発的に流行する「シミラークル」、SnapchatやInstagram Storiesなど期限内に消える 「エフェメラル」の流行など現在のシェア文化についてわかりやすく解説しています。

 

わたしが興味深かったトピック

現実のつながりとSNS上のつながりがほぼ同じになってきている

(若年層は特に顕著)

そのため、現実で友達がいないとSNSでも友達がいない、シェアもされない、という感じになってどっちも隠キャになるというのを読み、納得半分切なさ半分でした。

趣味のカテゴリなどではまた別だと思いますが。

Twitterは現実の人間関係は関係なく面白ければあっという間にシェアされますが、Instagramをはじめとしたビジュアルコミュニケーションはよりリアルに繋がっているので(Twitterよりも顔出しも多い気がする)よほど光るものがなければ現実で隠キャだとSNS上でもシェアされずらいというのは残酷に思います。

今の10代が生きている世界を垣間見ました。

 

エフェメラルが好まれる背景

現実とSNSのつながりがほぼ同じになっているのにも当然つながっていますが、「仲間内で盛り上がる」にエフェメラルがフィットしているというのを説明がとても納得できました。

すぐに消えるならインスタ映えとか考えなくてもいいですし。

Instagramに投稿するものは作り込んだもの、Storiesは気軽に投稿できるし盛り上がり中心、オチなどなくていい、というの説明がわかりやすかったです。

 

盛りについての考察

「現実でがっかりされないようにうまく盛る」という概念がおもしろかったです。

「もとから可愛い子」より「努力して可愛い子」がうけるようになっているという下地もあるので、作り込むことはむしろ努力だし良いことだという考えは素敵だなと思いました。

「盛れすぎの坂」の「不気味の谷」の解説もおもしろかったです。

 

「タグる」の流行る背景に検索エンジンへの不信

わたしたちWEB制作者はサイトの表示速度が早いことは正義的な業界にますが、ユーザーも表示速度やモバイル対応で上位表示される場合があるという仕様を把握しはじめていて、かつそれはあまり意味がないのでGoogleよりInstagramのタグを使って情報を検索している、というような一説を読み、「技術書だけでなくいろいろな本を読むのは大事だな」という月なみな感想を持ちました。

若年層はGoogle検索を使わなくなっているというのは記事などを読み把握していましたが、こういうことも不信の一つになっているとは思わなかったです。

 

締め

心のどこかで「インスタ映え(笑)」的に見ていた部分があったんですが、ある程度裏付けがあったり、いわゆる若年層のリサーチ結果などを見ると「笑ってる方がとりのこされるな」という感想になりました。

よく自己顕示欲にからめて馬鹿にする言説もみますが、そもそもがInstagramを始めとしたビジュアルコミュニケーションの世界と現実が分断しているのではなく、全て含めて自分という概念はまったくなかったです。

盛っている姿も自分なんだなーと。

分断していると考えるのはもはや古い価値観なのだなーとしみじみしました。

そりゃー「インスタ映え(笑)」「盛り(笑)」といって馬鹿にする側と目いっぱい「インスタ映え」を心から楽しんでいる側は噛み合うはずもないです。

そして確実にその価値観が経済を動かしてきているので、価値観をアップデートしないと厳しいと思いました。

これからARやVRもどんどん普及してビジュアルコミュニケーションの比率は高くなるでしょうし、シェアされた写真からダイレクトに検索する技術もどんどん向上していくでしょう。

あと5年後、ビジュアルコミュニケーションがどうなっているのかが楽しみです。